ワークアウト虎の巻

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正しいHMBの摂取量はどれくらい?論文を元に検証!

どんなサプリメントでも容量用法があり、HMBもしかり。パッケージの裏面を見ると、1日の適切な摂取量が記載されています。ですがこの摂取量は、商品によって異なります。しかも日本のタブレットタイプのHMBサプリの場合、「XX粒飲んでください」と書いているのみ。実際にHMBという成分が、そのXX粒にどの程度含まれているかが分かりにくいです。

一方で、日本のHMBサプリの説明サイトを見ると、「摂取量は3,000mgが推奨」などと書いていたりします。さらに海外のHMB製品の容量用法(usage)を見れば、「3,000mg」と記載されていたりします。ということはHMBサプリの摂取量は、3,000mgが適切なのかもしれません。

でもなんでHMBの摂取量は、3,000mgが適切なの?HMBの摂取量は全ての人に共通?男性も女性もHMBの摂取量は3,000mgでいいの?

このページでは、HMBの適切な摂取量が何gかだけでなく、なぜそれが適切かの理由を確認するため、いろんな論文を参照しました。適切な摂取量の設定の背景にはいろんな実験が存在しているので、興味のある人はぜひ見てください。

なぜHMBの適切な摂取量は3,000mgなのか?筋肉に与える影響は?

当たり前のように語られている、「HMBは1日3,000mgが適量」。何故この3000mgという数字がHMBの適量として一般的になったのでしょうか。

HMBの世界的権威であり、HMBのライセンス「HMβ」を保有する会社「MTI Biotech」の創業者であるSteven L. Nissen教授は、過去に多くのHMBに関する論文を発表しています。彼の1996年の以下の論文では、0mg、1,500mg、3,000mgの3種類のHMB(この論文ではHMBCaと定義)の摂取において、その効果を比較検証したところ、3,000mgの摂取がもっとも除脂肪体重が増加したそうです。

 

Effect of leucine metabolite β-hydroxy-β-methylbutyrate on muscle metabolism during resistance-exercise training

 

おそらくこの論文がきっかけで3,000mgを適量とする流れが作られたのではないかと思います。

 

以降、さまざまな研究者がHMBの効果を検証し論文を発表しました。以下の論文では、HMBの効果を実験で確かめた論文を多く紹介しております。「HMBは効果があった」とする論文だけでなく、その逆で「HMBは効果なし」と結論づける論文も紹介しています。

 

www.ncbi.nlm.nih.gov


その中で、「HMBは効果があった」と結論づける論文を約20件紹介していますが、そのほとんど全てが HMBの1日の摂取量を3,000mg(1,500mg:1件、3,000mg:17件、6,000mg:1件)で実験しています。

 

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ちなみにこのHMBの摂取量は全てHMBCaではありません。確認したところ、論文によって「HMBCaを3g」と明記している場合と、最近やっと商品が出だした「HMBFA(HMBほぼ100%)を3,000mg」の場合と、そもそも明確になっていない場合の3パターンがあります。

3,000mg以上摂取するとどうなるか?筋トレの効果はどうなる?

毎日3000mgのHMB摂取は効果があるというのはわかったけど、それ以上飲んだ方が効果が出るんじゃない?と考えるのはごもっともです。上で紹介した論文の中で「3,000mgと6,000mgの比較」をした論文(2000年)を参照すると、効果の違いを以下のように結論づけています。

www.ncbi.nlm.nih.gov

it appears that higher doses of HMB (i.e., > 38 mg x kg(-1) x d(-1)) do not promote strength or FFM gains.

 

翻訳すると「1日3,000mg(38 mg/kg/d)以上のHMB摂取は、筋肉の強度(strength)も除脂肪体重(FFM, Free Fat Mass、体重から脂肪を除いたもの。筋肉量と読み替えられる)も上がらない」。以上より、HMBの摂取量は、3,000mgを適量とすることが妥当であると考えられます。

日本人の摂取量は毎日3,000mgでいいのか?

日本人を対象としたHMBの効果を確認する実験は極めて数が少なく、貴重な論文を2つ紹介します。まず一つ目は、日本体育大学でおこなわれた、日本人短距離アスリートを対象としたもの。毎日3,000mgを4週間摂取し、筋肉の強度および筋肉量が増加するかを見たところ、残念ながらHMBを摂取しない人たちと比べて有意な結果は出なかったと結論づけています。ただし、筋損傷の回復を促進する可能性が示唆されたとのことで、HMBの筋合成の促進の効果が確認できたのではないでしょうか。

レジスタンストレーニング時のβ-Hydroxy β-MethylButyrate(HMB)摂取が筋力、身体組成および血液生科学的指標に及ぼす影響(日本体育大学大学院、体育科学研究科)


そして、この実験を行なった教授が2016年、再度実験を行なったのがこの論文。明確に日本人と明記はしていませんが、摂取したプロテイン(バルクスポーツ)や計測器(TANITA)などが全て日本製。日本人を被験者として実験したと見ていいでしょう。この実験では、HMBを毎日3,000mg摂取しています。

jissn.biomedcentral.com


この実験はそもそも「プロテインとHMBを同時に摂取するとどうなるか?」ということを検証するもので、かつ5日間(全体で12日)のみ。よってこの論文は、HMBの適量を説明するのにはあまりふさわしくないかもしれません。

日本人女性の摂取量は3,000mgが適量なのか?体重を基準に目安は?

現在日本では、女性向けHMBサプリが複数登場しています。一般的なHMBサプリと比較すると「用法通りに摂取すると、1日あたりのHMB摂取量が少ない」という特徴があります。このことから、女性の適量は3,000mgではなく、それ以下なのではないか?という疑問が生まれます。特に日本人女性は西洋の女性よりもカラダが小さく、HMBの摂取量も少なくしないとカラダに悪影響があるかもしれない、と思いがちですが、これもいくつかの論文を見て行くことにしましょう。

以下の論文は、20〜40歳の、39人の男性と36人の女性が被験者で、毎日3,000mg摂取した結果「性別関係なく除脂肪体重が増え体脂肪率が減った」となったそうです。ただしこの被験者は明らかに日本人ではないので、日本人女性の適量を説明する参考資料としては弱いです。

www.ncbi.nlm.nih.gov



もう一つの論文は、HMBがここまで有名になったきっかけを作ったと言っていい文献です。厚生労働省が2015年にリファレンスしたこの論文は、台湾の寝たきりの高齢者を被験者としました。被験者が1日に2,000mgのHMB(この実験ではHMBCaを使用)を4週間摂取したところ、2週間で効果が出たとのこと。台湾人は日本人に近い食生活、体格を持っているので、日本人と読み替えてもよさそうです。

 

Effect of β-hydroxy-β-methylbutyrate on protein metabolism in bed-ridden elderly receiving tube feeding(Asia Pac J Clin Nutr 2010;19 (2):200-208)

寝たきりの高齢者でも2,000mgのHMBを使用できているわけですし、ダイエットなどを通じてカラダ作りに励もうとしている健全な女性にとって、2,000mgのHMBが問題ありとは考えにくいです。とはいえ、3,000mgの摂取に対して不安が拭いきれないのであれば、女性向けのHMBサプリを購入されることをおすすめします。

おすすめHMBサプリの比較ランキングはこちら

HMBの摂取量の適量がいろんな論文を通じておわかりいただけたかと思います。日本のHMBサプリの用法を見ると、以下の通り少なめの適量となっていますので、飲み過ぎることもないでしょう。

  • バルクアップHMBプロ:1日5粒(2,400mg うち、HMBCa 2,000mg)
  • 鍛神HMBCa2000:1日6粒(2,460mg うち、HMBCa 2,000mg)
  • HMB極ボディ: 1日3粒(3,000mg  うち、HMBCa 2,100mg)


あとは、HMBCaの含有量以外の、価格やそれ以外のサポート成分を総合的に見て、自分にあった商品を探すことが重要だと思います。しかし、今市場には数多くのHMB商品が売られており、何を買っていいか迷ってしまいます。そんな皆様のために、人気HMBサプリの比較ランキングを作成していますので、以下のリンクよりぜひ見てみてください。きっとあなたが欲しいHMBサプリが見つかるはず。



HMBの含有量が抑えめのおすすめ女性向けHMBサプリはこちらで紹介していますので、併せてチェックしてください。

おすすめの摂取タイミング「就寝前」「起床後」「トレーニング前後」

HMBサプリの適切な摂取量がわかったら、次に気になるのは、「おすすめの飲むタイミングはいつ?」ということ。過去のエントリーで、HMBサプリを飲むタイミングについてまとめていますが、改めていうと、「就寝前」「起床後」「トレーニング前後」です。

ポイントは「筋肉の分解や合成が活発するタイミングで、HMBの血中濃度を高くする」こと。睡眠や仕事などで長時間栄養補給ができないと、血中アミノ酸濃度が低くなり、カラダは筋肉を分解し筋肉からアミノ酸を作ろうとします。また、筋トレなどのトレーニングを行うことで筋線維が切断され、その後カラダは切断された筋繊維を修復するため、筋合成を活発化させます。

この様なカラダの状況にHMBの筋分解の抑制、筋合成の促進という二つの効果をもっとも効率よく対応させるためには、上記の3つのタイミングが推奨されるのです。

詳細はこちら

注目の「HMB入りプロテイン」の栄養素とは?コスパに気をつけて

最近、HMBに注目したサプリメントメーカーが、HMB入りのプロテインをリリースしています。飲むタイミングがプロテインもHMBもほぼ同じなので、このコラボレーションは非常に納得が行きます。例えば国内サプリメントメーカーのDNSは、ハイスペックなプロテイン「ホエイプロテインSP」を発売しています。

www.domeshoppingzone.com



1スクープでなんとHMB(HMBCa)が1,500mgも摂取できます。しかもHMB以外に筋トレ用サプリとして有名なグルタミンが5,000mg、シトルリンが500mg、アルギニンが500mg入っています。この様な成分が入って、1,000gで7,560円は非常にコスパがいいと思います。

しかし一方で、他のHMB入りプロテインの中には、「プロテインとHMBを別々で買った方が全然お買い得なのでは?」と思われる様な商品も。一見お買い得の様に見えますが、しっかりコスパを考えて購入するかを決めてください。

 

 

以上!